東日本大震災・原発事故に関する申し入れ(第9次)その2

4、経済的被害について
被災者の当座の生活資金として、県として見舞金を早急に支給すること。
②「1.基本的な立場」の立場で、東京電力と国が全面的補償・賠償を行うことを宣言するように強く求めること。その上で、とくに農家や酪農家をはじめ維持コストもかかっており、資金ショートで廃業に追いこまれる危険が高いことから、補償・賠償を担保としたつなぎ資金、あるいは立て替え払いを国に求めると同時に県の責任でただちに活用できるようにすること。風評害や原発事故を想定していない共済制度の特例的活用ができるようにすること。
③ 風評被害では、「昨年のコメも返品されてきた」、「福島産は衣料品まで拒否される」という話も出ている。さらに飯舘村では金型工場で従業員を呼び戻してせっかく生産した金型が飯舘産ということで納品を拒否されている。規制対象外の産品について、これまでの取引実績があるのに取り扱いを拒否した業者、あるいは返品してきた業者に行政指導ができるような対応を求める。
④ 農林水産物等の摂取制限・出荷停止については、今後、県単位や品種単位ではなく、もっと細分化した調査を継続して行いながら、安全なものについては「安全保証シール」をはるなどして制限値を超えないものについては流通させること。
なお、学校や病院、介護施設など給食を行うところでは、これまでに比較して高価な県外産野菜を使わざるを得ないが、この差額も補償の対象となるよう手立てをとること。
⑤ 農産物や原乳などで出荷や収穫ができないものについて、県農林水産部は「焼くな、捨てるな、埋めるな、保管しておけ」と現実的に難しい指示を出しているが、その処理を個別農業者の責任にせず、制限を出している国として責任を持って早急に回収・処理することを求める。また「農業技術情報」などでみられる生産者の自己責任で県として責任を持たないかのような表現はやめ、県として責任を持った判断を示すこと。
⑥ 避難によって家畜が放置されたまま死んでいっている。衛生的にもこの処理について、国や県が直接対応すること。
⑦ 原発事故によって結果的に就労の機会を奪われている労働者や、仕事を受注できなくなっている業者に対する補償・賠償は当然であるが、これも資金ショートしないように、一般的な融資とは別に補償・賠償を担保としたつなぎ資金、あるいは立て替え払いを国に求めると同時に県の責任ですぐに活用できるようにすること。

5、原発事故の本質的問題に関して
① 県民感情からして福島原発の再稼動はありえないことを、知事が宣言することを求める。
② 今回の事故は「安全神話」が生み出した「人災」であり、被害県として全国の原発の総点検を国に求めること。同時に、プルサーマル計画及び政府が昨年策定した14基以上の原発福島第一原発7、8号基など)を新増設する無謀な計画の中止を国に求めること。
③ 原発の推進機関である経済産業省の一部門に過ぎない原子力・安全保安院ではなく、独立機関の原子力安全委員会が役割を果たすよう国に求めること。
④ ドイツでは発電量の16%を再生可能エネルギーでまかなっており、その発電量は実に福島第一原発1号機の25基分に及ぶ。今こそ、原発依存から脱け出し、太陽光と熱、風力、水力・小水力、地熱、波力、潮力、バイオマスなど再生可能エネルギー活用へ真剣に取り組むよう国民的議論を呼びかけること。県自身がエネルギー政策検討会でとりまとめた02年の「中間とりまとめ」を、その土台として位置付けし直すべきである。

二、震災被害について
① 遅れている津波被害者の捜索活動を迅速に進めること。特に、第一原発半径30km圏内では、捜索も身元確認も絶望的な思いで避難生活を強いられている。国の責任で捜索をすすめるよう求めること。
② 県内のダムの耐震性をただちに調査し、早急に対応するとともにその結果を公表すること。
  天栄村の羽鳥湖のパイプライン破損により、矢吹町など約3200町歩がダムの水を使えず、田植えもできるかどうか分からない状況になっている。早急な対応を求める。
③ 県漁連によれば漁業用の船舶は50%もの被害にあっている。漁業者が早期に操業ができるようハード・ソフト両面での対応を早急に進めること。

<インフラ整備・復興などについて>
① 震災によって住居を失うなどで避難を余儀なくされている避難者に対しても、上述した原発事故に伴う避難者への対応と等しく処遇されるようにすること。
② 住宅を失った被災者などへの個人補償が現状では300万円と少ないため、これを大幅に引き上げるよう国に求めること。また阪神淡路大震災の時に大きな問題となった住宅ローン問題で、家を失った被災者のローン返済を免除させるとともに、新たに家を建てる際にローンを組めるよう特例措置をとるよう国に求めること。
③ いわき市をはじめ、水道などのライフラインの復旧が進んでいない地域がある。全県の給水車や水道工事業者を集中するなど、県として全力で支援すること。
④ 今回、震災直後に防災無線が使えなくなったり、県と市町村、あるいは市庁舎と支所の連絡方法が絶たれるような事態があったという。改善を求める。
⑤ 住宅の修繕は県内の業者に発注すると共に、修繕の資材調達を行なうこと。
⑥ 倒壊したブロック塀や落ちてきた屋根瓦などの処理に多くの県民が困っている。高齢者世帯などでは片づけができずにそのままになっていることもある。県と市町村が連携して処理すること。
⑦ 震災の影響を受けて実質失業状態になっている県民も多い。当面の失業対策としても、建物の倒壊現場や港湾、津波被災地などのガレキ片付け、安全確保パトロール、復興支援などに、国としても(3月28日、大門参院議員質問で)積極的活用を呼びかけている緊急雇用創出事業を活用するなど雇用創出をはかること。公共事業でないガレキ撤去は、同事業が認められている。
⑧ 復興のための資金調達のため、「震災復興国債」を発行して、244兆円にのぼる内部留保で「手元資金」だけでも64兆円を抱え、お金の「使い道に困っている」大企業に引き受けさせるよう国に対して求めること。

<くらしと経営について>
① 中小零細事業者への融資制度のPRを図り、早急な営業再開を援助すること。
② 引き続きガソリン、灯油などの燃料が不足している。継続して改善を国に求めること。
③ 公共工事等の施工工業者に対する代金の支払いについては、震災被害を考慮し、出来高払いの採用や、やり直し工事に対する補償を行なうこと。
被災地や避難者の多い地域の公共料金などの自動引き落としは、本人の了解を得てからにすること。
⑤ 県の電話相談などがつながらないことが多い。電話回線を増やすなどして相談サービスの改善を図ること。

以 上