2011年5月13日
福島県知事 |
東日本大震災・原発事故に関する申し入れ(第18次)震災、原発被災から2カ月が経過し、いよいよ生活保障、将来の見通しを示してほしいとの要求が強まっています。また、教育環境に対する要望も寄せられていますので、以下の点について対策を講じられるよう申し入れます。 1 羽鳥湖の農業施設被害によって、県南方部の水田が作付不能となっている。早期復旧に全力を挙げるとともに、農家の休業補償を実施するよう国に求めるとともに、当面県として何らかの補償策を講じること。 2 地震、津波による被害、原発事故による被災にかかわらず、自宅や事業所を使えない被災者のあらたな出発に際しては、これまでの借金を背負うマイナスからの出発でなくゼロから出発できるように、それまでの負債を凍結するとともに、新たな資金調達のための支援策を国に求めること。 3 原発事故による産業への補償金仮払いを直ちに行うよう国と東電に求めること。また、南相馬市は30キロ圏外にある鹿島区住民にも義援金の国、県分1世帯40万円、総額8憶円を市が独自に支給することになった。これは30キロ圏内に先に支給したことによる矛盾を解消するための措置である。避難指示された自治体全住民に対して義援金を支給すべきであり、県の二次配分の際に追加配分すること。東電の仮払い金についても同様に鹿島地区住民全世帯に30キロ圏内と同様の仮払いを実施するよう国と東電に求めること。 4 生活再建の土台となる住宅修繕について、公的支援策が講じられるよう国に求めると同時に、当面県として支援策を早急に講じること。 5 福島市あさひ台団地など、県内各地に発生した盛り土による宅地造成地の崩落で生じた、宅地と住宅の被害については、町づくりを含めた地域再建の取り組みが求められる。専門家を派遣して住民が主体的に再建計画を策定できるよう、国、県、市町村が支援する仕組みを作ること。 6 放射能による土壌汚染が、既にチェルノブイリ原発事故の際の避難基準とされた55万ベクレルを大きく超えた地区があることが明らかにされた。文科省は放射能の測定値を1キログラム当たりのベクレル数を使っているが、国際的には1平方メートル当たりのベクレル数が用いられている。県民が比較判断できるように国際単位でも示すべきである。 7 義務教育施設の校庭土壌の除染について基準が示されたが、高校についても希望する学校の除染を直ちに行うこと。 8 福島県教育委員会は、8月1日に教員の異動を実施するとして5月23日には辞令を発令するとしている。子どもたちはもとより、全県民が未曾有の甚大な自然災害に加えて、放射能汚染による深刻な精神的ストレスを受けており、子どもたち同士、保護者同士、地域の中で放射能に対する捉え方の相違により人と人との繋がりがバラバラにされる事態が起きている。これは、県民がかつて経験したことのない事態であり、特に影響を受け易い子どもたちには特別の支援が求められている。この時に2学期からとはいえ、教師の人事異動を行うことは、子どもたちの不安を一層増幅させることになると、教育現場からも危惧の声が出されている。異動は退職者とその補充など最小限にとどめるべきである。スクールカウンセラーの配置は当然だが、一番子どもたちに寄り添い心のケアを行ってきたのは現場の教師であることを踏まえ、5月23日に発令予定の異動の再検討を求めるものである。 9 南相馬市は30キロ圏内の学校が使用できないために、鹿島区の4つの学校に分散して授業が行われている。 10 県内の学校では、夏に向けて窓を開けてもいいのかなど暑さ対策で、放射能の影響を心配する声が各地から出されている。とりわけ夏の異常高温が常襲化している福島市の不安は切実である。こうした不安に応えようと、この程、二本松市は、子どもの安全最優先の観点から、内気循環機能を備えた空冷ヒートポンプ式空調機を全教室に設置する方針を決定した。その財源は、国と東電に求めるとしている。県教育委員会は、県内の子どもの安全を守る立場に立って、二本松市のような教室へのクーラー設置を直ちに実施すること。そのための財源は、国と東電に求めること。 11 農業用水を阿武隈川など漂流水から取水しており、大丈夫なのかとの不安が寄せられている。農業用水の放射能検査を実施すること。 以 上 |